石黒 浩

認知脳ロボティクス、生体規範型ロボティクス
所属:
大阪大学大学院基礎工学研究科 教授
その他の所属:
ATR石黒浩特別研究室
Fax:
06-6850-6360
住所:
【CiNet】 〒565-0871 大阪府吹田市山田丘1-4
【Osaka U】 〒560-8531 大阪府豊中市待兼山町1-3

石黒研究室では生体規範型ロボットとアンドロイドを研究しています。特にアンドロイドはモデルになった人物と双子という意味でジェミノイドと呼ばれ、世界的に有名になっています(ギネスブックにも登録されています)。ただし、我々の研究はロボット工学から認知科学や脳科学へと広い領域にわたっています。

アンドロイド研究の主な目的は人がそこにいるかのような感覚、つまり「存在感」の解明にあります。我々はテレイグジスタンス(遠隔存在)ロボットや遠隔操作アンドロイド、そしてジェミノイドのような「分身」を開発してきました。これらとふれあう相手となる人間の振る舞いや脳機能の分析により、アンドロイドが人と同じような存在となるために必要な技術の開発をしています。

また、ロボットのような複雑なシステムの基本設計の概念も研究を進めています。生体のような複雑なシステムには普遍的に見られる「ゆらぎ」を人工物の設計概念として注目しています。人工機械は高精度、高信頼性が要求されますが、それゆえ故障やノイズに対する対策のコストが複雑さにより急激に増大するという問題があります。生物ではそれぞれの要素がゆらいでいて不正確な振る舞いをしますが、システム全体としては安定です。この性質をもった人工物が開発できれば、その応用範囲は飛躍的に広がるものと期待されます。また、人と親和性が高い人間協調ロボットが可能になると考えています。

我々はこれらの目的に向けて、人と共存できる新たなアンドロイド、人の運動の性質と親和性が高く人間の能力を拡張するアシスト機器、複雑なネットワークにおいても信頼性の高い物流システムなどを研究しています。

主要な業績:

石黒浩, 「アンドロイド」 , 日本機械学会誌, Vol.115, No.1126, pp.630-631, 2012.9

H. Ishiguro, T. Minato, Y. Yoshikawa, and M. Asada. “Humanoid platform for cognitive developmental robotics”, International Journal of Humanoid Robotics, Vol.8, No. 3, pp.391-418, 2011.9

柳田敏雄 四方哲也 石黒浩 村田正幸 「生体ゆらぎにまなぶ知的人工物と情報システム」,応用物理, Vol.78, No.8, pp.788-794, 2009.8

H. Ishiguro, Scientific issues concerning androids, International Journal of Robotics Research, Vol. 26, No. 1, 2007. 1.

K. F. MacDorman and H. Ishiguro, The uncanny advantage of using androids in cognitive and social science research, Interaction Studies, Vol. 7, No. 3, pp. 297-337. 2006.