内藤 栄一

人間の感覚・運動機能を理解して、これを改善・向上する
所属:
情報通信研究機構 (NICT)
未来ICT研究所
脳情報通信融合研究センター
脳情報通信融合研究室
室長
その他の所属:
大阪大学大学院生命機能研究科 招へい教授
Fax:
06-7222-8054
住所:
〒565-0871 大阪府吹田市山田丘1-4 2A6
Homepage:
https://researchmap.jp/read0045911

我々の研究室では、主にMRIなどのニューロイメージング手法や行動学的アプローチを用いて、人間の感覚・運動機能を深く理解して、これを改善・向上させることのできる技術の研究開発を行っています。

我々の興味は、人間の身体認知から運動制御や運動学習に至るまでの幅広いトピックスを包括しています。例えば、身体像、身体意識や自己意識の脳内表現、他者理解、運動意図、運動イメージ、運動適応、運動技能、感覚運動連関などが主な研究テーマです。我々は、主にMRI、TMS、tDCSなどの介入技術やKINARMなどの運動装置を用いた研究を行っています。MRI研究では、脳機能マッピング、脳情報復号化技術、因果性解析などを用いて、人間の感覚情報処理や運動制御・運動学習の脳内メカニズムを脳の機能と構造の両側面から理解し、行動計測による計算論モデルの構築を通して、脳のシステム的理解を図っています。これらの理解に基づき、ロボティック介入、神経修飾や補完感覚フィードバックなどの手法を用いて、人間の感覚・運動機能を効果的に改善・向上させる手法を開発しています。

また、子供から高齢者、感覚(視覚)障害者からトップアスリートに至るまでを広く研究の対象とし、発達に伴う機能分化、加齢に伴う機能低下、障害者やスポーツの達人に見られる脳の特殊化や超適応機能などを可視化して、人間の一生を通じて起こる脳のネットワークレベルでの可塑性ルールの解明に挑んでいます。特に、脳の様々な機能が秩序だって作動することを可能にする脳内大規模ネットワークで起こる抑制機構に着目し、この抑制機構の発達・加齢に関する計算モデルも構築しています。このような多角的な研究を通して、はじめて脳の包括的な理解が可能となります。このような脳の包括的理解は、自己の脳の潜在的な適応力を最大限に活かして、子供から高齢者、障害者までが広く活躍できる社会を実現するための学術的基盤となります。

我々は、さらに、上記の基礎研究の知見がスポーツやリハビリテーショントレーニングなどの実生活現場に、継ぎ目なく移行できるような研究の枠組みを確立することを目指しています。これを実現するため、大阪大学の大学院生さんと共に研究し、大阪大学をはじめとする様々な大学や企業との共同研究も積極的に行っています。

 

主要な業績:

Morita T and Naito E Facilitation of hand proprioceptive processing in paraplegic individuals with long-term wheelchair sports training. Brain Sciences 12(10), 1295, https://doi.org/10.3390/brainsci12101295, 2022.

Morita T, Hirose S, Kimura N, Takemura H, Asada M and *Naito E Hyper- adaptation in the human brain: Functional and structural changes in the foot section of the primary motor cortex in a top wheelchair racing Paralympian. Frontier in Systems Neuroscience, https://doi.org/10.3389/fnsys.2022.780652, 2022.

Naito E, Morita T, Hirose S, Kimura N, Okamoto H, Kamimukai C and Asada M Bimanual digit training improves right hand dexterity in older adults by reactivating declined ipsilateral motor-cortical inhibition. Scientific Reports 11, Article number: 22696, 2021.

Naito E, Morita T, Kimura N and Asada M Existence of interhemispheric inhibition between foot sections of human primary motor cortices: Evidence from negative blood oxygenation-level dependent signal. Brain Sciences 11, 1099. https://doi.org/10.3390/brainsci11081099, 2021.

Amemiya K, Naito E and Takemura H Age dependency and lateralization in the three branches of the human superior longitudinal fasciculus. Cortex, 139: 116-133, https://doi.org/10.1016/j.cortex.2021.02.027, 2021.

Morita T, Asada M and Naito E Examination of the development and aging of brain deactivation using a unimanual motor task. Advanced Robotics https://doi.org/10.1080/01691864.2021.1886168, 2021.

Naito E, Morita T and Asada M Importance of the primary motor cortex in development of human hand/finger dexterity. Cerebral Cortex Communications 1: 1-12, https://doi.org/10.1093/texcom/tgaa085, 2020.

Amemiya K, Morita T, Hirose S, Ikegami T, Hirashima M and Naito E Neurological and behavioral features of locomotor
imagery in the blind. Brain Imaging and Behavior 15: 656-676, DOI: 10.1007/s11682-020-00275-w, 2020.

Morita T, Asada M and Naito E Right-hemispheric dominance in self-body recognition is altered in left-handed
individuals.Neuroscience 425: 68-89 doi: 10.1016/j.neuroscience.2019.10.056, 2020.

Announcements / News:

関連プロジェクト:
文部科学省科学研究費補助金 (2019-2023年)
新学術領域 「超適応:身体―脳の機能不全を克服する潜在的適応力のシステム論的理解」

文部科学省科学研究費補助金 (2023-2027年)
基盤研究(B) 「運動野における体部位間抑制の機能的役割とそのトレーナビリティの検証」

Lab Members:

研究者
池上 剛
朴 志勲
Gurgone Sergio
・Ozge Ozlem Saracbasi 

大学院生
・湯 硯迪
・三浦 玄

研究補助
・上山 恵子
・烏谷 範子
・千葉 桂子

協力研究員
・中野英樹(京都橘大学)
・廣瀬智士(追手門学院大学)