PROGRAM

プログラム

2026年11月10日(火) 13:00~17:30

主催者挨拶

北澤 茂 NICT/大阪大学 CiNet・研究センター長
講演1

AI と脳画像による精密精神医療

川人 光男 株式会社国際電気通信基礎技術研究所 脳情報通信総合研究所・所長

計算論的神経科学、AI、脳画像データベースを組み合わせて、精神疾患を脳回路の異常として理解し、診断・治療するアプローチを紹介する。

講演2

私たちの意識は脳内でどのように生み出されるのか?

鈴木 基高 国立大学法人大阪大学 大学院生命機能研究科・教授

全身麻酔薬は意識を可逆的に消失させることを可能にした。これにより、私たちは恐怖を感じることなく無意識状態で外科的手術を受けることができる。しかし、麻酔薬は私たちの意識をどのように消失させるのか?全身麻酔の長い歴史にもかかわらず、麻酔薬による意識消失の細胞レベルのメカニズムについては驚くほど知見が少ない。マウスを使った我々の研究で、全身麻酔が大脳皮質第5層錐体ニューロンの樹状突起と細胞体間の情報伝達を阻害することが見出された。興味深いことに、この大脳皮質での樹状突起-細胞体間の信号伝達には、視床とりわけ高次視床核が重要な役割を果たしている。時間が許す限り、意識に関わる細胞レベルのメカニズムに近づくための、現在進行中の研究についても紹介する。

休憩1

研究紹介1

酔わないVRの実現に向けて

番 浩志 NICT CiNet脳情報通信融合研究室・主任研究員

仮想現実(VR)等の没入型技術は、エンターテインメント分野のみならず、教育、医療、産業など様々な分野で急速に利活用が進んでいます。一方で、「VR酔い」の問題が、没入型技術の安全で快適な普及を阻害する大きな要因となっています。そこで私たちは、VR利用者が明確な不快感を自覚する前に「酔いの予兆」を検知してアラートを出すような、酔いを未然に防ぐ技術の確立を目指して研究をしています。予兆の候補としては色々な身体・心の変化が考えられますが、最近になって、ごく簡単なセンサーで計測できる眼の動きやひとみの大きさ、そして頭の動きの変化のみから、かなりの精度で酔いが予測できることが分かりつつあります。本講演では、その最新の成果についてご紹介します。

研究紹介2

多様な情動は脳内でどのように表現されるのか―情動表現の高次元構造―

間島 真子 NICT CiNet脳情報工学研究室・研究員

我々は、日常においてさまざまな情動を体験している。この多様な情動は、脳内でどのように表現されているのだろうか。我々は、多数の情動評価と脳活動を解析することで、人の情動が約25次元からなる構造を持ち、その表現が大脳皮質上に広く分布することを示した。また近年では、マルチモーダルAIモデルが人の複雑な情動の構造をどの程度捉えられるかが、重要な研究課題となっている。本発表では、脳活動の解析からAIモデルとの比較へと展開してきた一連の情動研究を紹介する。

研究紹介3

先進的脳活動計測技術の開発 ― 実験室から日常まで、それらをつなぐ最新計測

成瀬 康 NICT CiNet脳機能解析研究室・室長
湯本 真人 NICT CiNet・上席研究員(同研究センター 脳機能解析研究室 総括研究員(兼務))

私たちは、実験室環境から日常環境までの脳機能計測の高度化に向けて、幅広い計測技術の研究開発を進めています。例えば、0.4 mmの高空間分解能を実現する機能的MRI計測技術や、マイクロ秒オーダーで同期可能な脳波計を用いた非拘束脳機能計測技術などを開発してきました。しかしながら、実験室環境と日常環境の間には依然として大きなギャップが存在します。本講演では、CiNetで進めている先進的な脳機能計測技術を概観したうえで、このギャップを埋める新たな技術として導入した光ポンピング磁気センサによる脳磁図計測の現状と今後の展望について紹介します。

休憩2

研究紹介4

脳のセキュリティ―脳に対するサイバー脅威に備える

鈴木 悠 NICT サイバーセキュリティ研究所サイバーセキュリティ研究室・専門研究員

脳情報通信技術の発展により、人間の脳活動を精緻に計測し制御可能になる未来が近づいている。BMI/BCIというデバイスが脳情報の入出力を担い、インターネット経由でクラウドやアプリケーションと連携するということは、それらデバイスや経路がサイバー攻撃の対象となる可能性がある。現在サイバー攻撃はAIの進化により多様化しており、情報システムだけでなく、人の認知的脆弱性も狙われるようになった。本講演では、人の認知的脆弱性を狙うサイバー攻撃の事例を示すと共に、将来想定される脳に対するサイバー脅威に備えることを目的にCiNetとサイバーセキュリティ研究室が共同で取り組んでいる研究「脳のセキュリティ」について紹介する。

研究紹介5

多点高密度電極が拓くBMI技術の新展開

鈴木 隆文 NICT CiNet・副研究センター長

脳情報を用いて外部機器を制御するBrain-Machine Interface(BMI)技術が近年大きな注目を集めている。BMIには様々な種類の脳活動情報が用いられるが、脳表面から計測される皮質脳波は、侵襲性の低さ、情報量の多さ、計測の安定性といった点から有望な信号源と期待されている。本講演では、皮質脳波用表面電極の多点高密度化を行い、大阪大学と連携して感覚系および運動系を対象とした実験を実施し、BMIシステムの性能向上に対する有効性を評価した研究について紹介する。

閉会の挨拶

柏岡 秀紀 NICT CiNet・副研究センター長

※講演・研究発表の時間は進行状況に応じて多少前後する場合があります。