CiNet アドバイザー 小川 誠二

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CiNet アドバイザー 小川 誠二

小川誠二は、脳機能磁気共鳴画像法(functional MRI; fMRI)の基本原理であるBOLD効果の発見者であり、fMRI実証実験を最初に成功させた1人である。

BOLDとは、blood oxygenation level dependentの略であり、血液の酸素飽和度レベルによってMRI信号を変化させる効果をもつ。赤血球のヘモグロビンは、酸素との結合の有無によって磁性の性質が異なるため、酸素と結合していないヘモグロビン量、つまり酸素飽和度レベルによって血管内外のMRI信号を変化させる。

1980年代後半、動物の脳をMRIで撮像しているとき、動物の生理状態によって脳内にスジ状の低信号が現れることを観測し、その信号変化はヘモグロビンに由来することに気づいた。それ以前に磁気共鳴法(NMR)を用いてヘモグロビンの分子構造や機能に関する研究を行っており、その経験からMRI信号とヘモグロビンの磁性変化を結びつけてBOLD効果の発見につながった。

BOLD効果を発見した頃、ヒトの脳活動を計測する研究が始まりつつあった。

当時の計測法は、電気信号は計測できるが頭皮から計測する信号のために脳活動位置の同定が困難であったり、全脳の活動は計測できるが放射性同位体を用いる必要があったりと利用は限られていた。小川博士は、BOLD効果は脳活動計測に利用できると確信し、1992年、課題遂行中にMRI撮像を行うことで脳活動部位の同定に成功した。

その方法はfunctional MRIやfMRIと呼ばれ、非侵襲的にヒト脳全体の活動を繰り返し計測できる特徴があり、ヒト脳機能計測法の中心的な役割を果たしている。fMRIは脳機能局在を同定するだけでなく、脳領域間の機能ネットワークの解明にも利用され、術前機能マッピングによる腫瘍摘出部位の決定、機能ネットワーク解析による精神疾患診断などの医療分野だけではなく、神経科学・心理学・認知科学・社会科学など様々な分野に用いられている。

また、ヒト脳情報を読み取るデコーディング技術や大量の脳活動データの共有によるAI技術の進展に大きく貢献している。さらに、MRI装置の超高磁場化や画像解析技術の向上などの技術革新にも繋がっている。これらの貢献により、日本国際賞やガードナー国際賞をはじめとした賞を数多く受賞している。

<経歴>

1967年5月 スタンフォード大学 PhD (理学)

1967年−1968年 スタンフォード大学化学科ポストドクトーラルフェロー

1968年−1970年 ベル研究所 生体物理学研究部 研究員

1971年−1984年 ベル研究所 生体物理学研究部 主任研究員

1984年−1992年 ベル研究所 生体物理学研究部 特別研究員

1992年−2001年 ベル研究所 生物演算研究部 特別研究員

2001年−2004年 ヨシバ大学アルバート・アインシュタイン医学部客員教授

2001年−2008年 財団法人濱野生命科学研究財団 小川脳機能研究所所長

2008年4月−2021年3月 東北福祉大学 感性福祉研究所 特任教授

2008年−2012年 慶応義塾大学大学院 社会学研究科 訪問教授

2008年−現在     韓国嘉泉医科学大学(現・嘉泉大学)神経科学研究所 訪問教授

2009年−現在     ヨシバ大学アルバート・アインシュタイン医学部客員教授

2011年−2015年 独立行政法人情報通信研究機構 R&Dアドバイザー

2013年−現在     大阪大学大学院 生命機能研究科 招聘教授

2016年−現在     脳情報通信融合研究センター 招聘専門員

2019年−現在     名古屋大学 脳とこころの研究センター 客員教授

2021年4月−現在            東北福祉大学特別栄誉教授

<受賞歴>

1967年  イーストマン・コダック化学賞(博士課程在籍者対象)

1995年  国際磁気共鳴医学会 金賞(磁気共鳴に関する科学的貢献)

1996年  米国物理学会 生物物理学賞(生物物理及び脳機能磁気共鳴法の研究)

1997年  国際磁気共鳴医学会 フェロー

1998年  中山人間科学財団 中山賞(磁気共鳴法による脳機能画像化を可能にするBOLD効果)

1999年  朝日新聞文化財団 朝日賞(機能的MRIの原理「BOLD法」の発見)

2000年  米国科学アカデミー 医学院外国会員

2003年  日本国際賞(磁気共鳴機能画像法の基礎原理の発見)

2003年  ガードナー国際賞(磁気共鳴画像法の基礎原理の発見)

2005年  インド科学アカデミー 外国会員

2007年  磁気共鳴国際学会 ISMAR賞

2008年  ヘルシンキ工科大学 Olli V.Lounasmaa Memorial Prize

2011年  スタンフォード大学医学部 ライナス・ポーリング・メダル

2011-2015年      独立行政法人放射線医学総合研究所 フェロー

2014年  公益財団法人立石科学技術振興財団 立石賞・特別賞

2016年  国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構 名誉フェロー

2017年  慶應医学賞(機能的MRIの開発)

2018年  第2回日本医療研究開発大賞内閣総理大臣賞(機能的MRIの開発)

2020年  大阪大学 特別栄誉教授

Curriculum Vitae>