大学生のためのCiNet研究ワークショップ (2017年3月14日、15日)

「人間の脳機能のおもろい研究」に触れてみよう!
人間の脳情報の読み出しや書き込みのしくみが分かってきています。大学院で脳研究を目指す学生諸君の参加を歓迎します。

脳情報通信融合研究センター(CiNet)は、大阪大学と情報通信研究機構が連携して設立した、人間の脳機能を解明し、社会に生かす技術を開発する研究センターです。第一線の研究者が世界から集まり、高度な研究手法や先端機器を使って、ユニークな研究を展開しています。この研究をさらに発展させるためには、様々な分野の知識を身に着けたやる気のある学生諸君の結集が不可欠です。
そのために、CiNetの研究を皆さんに知ってもらい、斬新な発想を生み出してもらうために、上記日程で大学生向けのワークショップを開催します。講演に加え、希望の研究室にて研究実験体験も実施します。工学、理学、基礎工学、情報科学、医学、薬学、人間科学、社会学、経済学、哲学、心理学などを勉強している学生諸君の積極的な参加を期待しています。

主催:  脳情報通信融合研究センター(CiNet) (大阪府吹田市山田丘1-4、大阪大学 吹田キャンパス内)

日程:  3月14日(火)研究紹介講演、ポスター発表他、 3月15日(水)研究実験体験

場所:  3月14日(火)脳情報通信融合研究センター(CiNet)、3月15日(水)各研究室

対象:  原則として全国の大学院進学を目指す学部学生、主に3年生 (大学院博士課程進学を目指す修士1年生も可)

参加費: 無料

定員:   50名程度

選考:   3月15日(水)の 研究実験体験希望者は、上記申込時に300字程度の志望動機を説明してください。
希望研究室の決定については、3月初旬にお知らせします。

申込締め切り:   2017年2月24日(金)定員になり次第締め切ります。

お問い合わせ:   E-mail: info@cinet.jp


プログラム詳細

3月14日(火) 研究紹介講演、ポスター発表、交流会

<研究紹介講演>

10:00 – 10:15   開会、 CiNet 概要紹介   田口隆久  (CiNet 副研究センター長)
10:15 – 10:50 「おもろい研究をしよう!」(仮題)   柳田敏雄   (CiNe t研究センター長)
10:50 – 11:25 「テーラーメイド人体筋骨格モデルの開発とスポーツ脳科学への応用」  平島雅也 (CiNet/NICT)
11:25 – 12:00 「BMI 技術の実用化と脳科学への応用」  鈴木隆文 (CiNet/NICT)

12:00 – 13:00 休憩

13:00 – 13:35 「『ものが見える』ことはなぜ不思議か~視覚神経科学の挑戦」  藤田一郎 (CiNet/大阪大学)
13:35 – 14:10 「脳活動を操作して視知覚を生み出すメカニズムに迫る」  天野 薫( CiNet/NICT)
14:10 – 14:45 「ニューロンのおもろい情報通信」  寺前 順之介 (CiNet/大阪大学)

14:45 – 15:00 休憩

15:00 – 15:35 「統合失調症患者の脳ネットワーク解析~情報工学から脳科学へのアプローチ~」  下川哲也(CiNet/NICT)
15:35 – 16:10 「分子から心までイメージングするMRI」  吉岡芳親(CiNet/大阪大学)

16:15 – 17:15    Q&A コーナー
17:15 – 18:30      ポスター発表 (個別進学相談ブース併設)
18:30 – 20:00    交流会

<ポスター発表>

「ヒトの脳の情報通信経路を測る」              竹村浩昌 (CiNet/NICT)
「脳の認知のしくみにもとづく、予測型ネットワーク制御」 大下裕一  (CiNet/大阪大学)
「脳の学びを取り入れるディープラーニング」        篠崎隆志 (CiNet/NICT)
「高フレームレートにおける運動視差」            黒川正崇 (CiNet/大阪大学)
「MRIで脳と免疫のクロストークを可視化する」       吉岡芳親 (CiNet/大阪大学)
「脳活動を解読する」                       西本伸志 (CiNet/NICT)
「MRIを用いた脳情報計測」                    黄田育宏 (CiNet/NICT)
「脳科学研究と医療応用のためのBMI技術」        鈴木隆文 (CiNet/NICT)
「痛みのネットワーク科学に基づくバイオマーカー」     Kenji Leibnitz (CiNet/NICT)
「脳に学ぶ情報通信技術」                    寺前 順之介 (CiNet/大阪大学)
「ATRにおける脳研究と人工知能研究」           山下宙人 (CiNet/ATR)
「アルファ波が視覚的な揺れとして目に見える」                天野 薫   (CiNet/ NICT)

3月15日(水)研究実験体験

9:00 – 11:00  鈴木隆文 「BMI技術の実用化と脳科学への応用に関する見学会」
当グループで実施しているBMI技術の実用化と脳科学への応用研究に関する詳細説明の後に、実験環境及び実験の見学会を行う。

10:00 – 12:00  荒川伸一 「脳の動作原理に学ぶ情報ネットワーク制御」
脳は「ゆらぎ」を利用して複雑なシステムを頑強かつ低消費エネルギーで動かしていると言われています。
一方、インターネットなどの人工システムでは、システムの状態とシステムを取り巻く状況を把握し、
厳密に動かそうとしてきました。本体験では、情報ネットワーク制御を題材に、厳密に動作させることの難しさを体験し、「ゆらぎ」を利用した制御の利点を理解します。
(大阪大学吹田キャンパス内の情報科学研究科A棟 A609で実施します)

10:00 – 15:00  春野雅彦 「社会行動の脳内メカニズムのモデル化とイメージング」
ヒトとヒトが様々なゲームを行っている時の脳の働きを計算モデルでモデル化し、fMRI計測と合わせて解明する研究を体験します。
(研究者を目指す方向けのコースです)

10:00 – 16:00  天野 薫 「アルファ波を視覚的な揺れとして体験しよう」
我々の研究から、運動誘発ジターと呼ばれる錯視現象において、各自の脳内に元々存在するアルファ波が視覚的な揺れとして知覚されることが示唆されています。本実習ではジター錯視の周波数を計測するための心理実験とアルファ波の計測を通して、視知覚の脳内メカニズムに迫るための実験の流れを理解することを目的とします。

10:00 – 12:00 又は 13:00~15:00 吉岡芳親 「超高磁場MRIで脳の多様な情報を可視化する」
私たちの研究室では、磁気共鳴イメージング(MRI)法を用いて、非侵襲的に脳の様々な情報を可視化する事を行っています。たとえば、情動、記憶、痛み、免疫系と中枢神経系のクロストークなどに関係したイメージングで、今まで誰も見たことの無かった脳のイメージングです。今回の実体験では、小動物用の超高磁場MRI装置(11.7T) を用いて、数十ミクロンレベルでの可視化を行う予定です。

11:00 – 15:00  西本伸志 「fMRI実験を体験する」
私たちは、自然な知覚体験を司る脳内情報表現の定量理解とそのデコーディング応用に関する研究を行っています。この目的のため、ヒト非侵襲記録手法としては最高の空間解像度を誇るfMRIという計測手法を用いて脳神経活動記録を行っています。本実習では、fMRIを用いた脳神経活動記録実験を実際に体験します。
(体験参加は2017年3月15日時点で20歳以上の方限定です)

13:00 – 17:00  成瀬 康、井原 綾 「ウェアラブル脳波計を体験しよう」
ウェアラブル脳波計で可能になる日常生活に近い状態での脳活動計測や、脳波を用いたニューロフィードバックゲームを体験しましょう。
(当研究室は、兵庫県神戸市の未来ICT内です。アクセス: https://www.nict.go.jp/advanced_ict/access.html)

13:30 – 17:00  北澤 茂 「『眼を動かしても世界が動かないのはなぜか』 背景座標仮説を『人工神経回路』で検証する」
北澤ラボでは「眼を動かしても世界が動かないのはなぜか」という問いに答えるための研究を進めています。その中で、脳の楔前部に背景を基準とする外部座標系があることを発見しました。現在は、この座標系が脳の中に「自動的に」獲得されることを人工神経回路を使って検証して、サルの脳のニューロン活動と比較する研究を進めています。この研究体験では、人工神経回路に入力するためのデータを眼鏡型の視線計測装置を使って取得して、人工神経回路を組んで学習させてみます。得られた人工神経回路を使って様々な予測を行って、その予測を検証する実験を考えてみましょう。
(参加条件:サルの神経生理学と、人工神経回路網の両方に興味があることが参加条件です。Matlabを使うのでmatlabがわかると便利ですが、線形代数がわかっていればOKです。http://leading.lifesciencedb.jp/4-e012/ を読んできてください。)